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友達
「とりあえず、友達として仲良くなれたらなって思うんだけど、どうかな?」
お昼休み。
旭くんを呼んで空き教室で一緒にお昼ご飯を食べている。
旭くんはいつも周りに友達がたくさんいるから、話しかけるのに勇気が必要だった。
「うん!全然いい。むしろありがとな、引かないでくれて」
「引いたりなんかしないよ。僕の方こそ、最初罰ゲームなんて言ったりしてごめんね」
「謝んないでよ。それは俺の日頃の行いの悪さが招いたことだからさ。これからはもう少し真面目に頑張ろうと思って」
そう言う旭くん。今日は制服を第一ボタンまでしっかり留めて僕よりちゃんと着ている。ピアスも外したみたいだし。
「うん、今の旭くんもいいね。ピアスしてるのも似合ってたけどね」
「え!まじ?じゃあ明日からしよ。何色がいいと思う?」
「ええっと…何色かなぁ」
僕は美的センスがないほうだからなぁ。似合うとか似合わないとかがよくわからない。
僕の選んだ色で旭くんが周りからダサいって思われたりしたら困る。
「んーじゃあ、何色が好き?」
「好きな色は青かな。紺色に近いような濃い青色が好き」
「了解!ちょうどそんな色持ってるから明日つけてくるわ!」
「あぁ、うん。楽しみだな」
「ちゃんと見てほしいから、明日も一緒にご飯食べてもいい?」
「もちろん、いいよ」
こんなこと言われるの初めてだ。
旭くんはすごく嬉しそうに笑った。
恋をしてる人ってこんなに幸せそうなんだな。
いいなぁ。
「つか、旭くんじゃなくて名前で呼んでよ」
「え!名前?」
「うんうん、あ名前わかる?」
「わかるよ!当たり前じゃん」
でもちょっと緊張するなぁ。
他の人相手だとここまで緊張しないけど、旭くんが僕をじっと見て、すごく注目してくれてるみたいで。
あ、旭くんじゃなくて…
「圭太…くん」
声が震えた。
僕いま顔赤くなってるかもなぁ。
「……っ」
圭太くんを見上げると僕よりも顔を真っ赤にしていた。耳まで赤い…。
「大丈夫?」
つい心配になって顔を触ると、ばっとそらされる。あれ、嫌だったかな。
「っごめん、その…こんなにドキドキするんだな、好きな奴に名前呼ばれるのって。すっげー嬉しい、やばい…」
顔を両手で隠しながらそう言う圭太くん。
なんだか可愛い。
「これからはたくさん呼べるよ、圭太くん」
「まってしあわせ…」
そのまま後ろにコテンと倒れてしまった。
好きな人に名前を呼ばれるとこんなになってしまうんだ。
本当にいいなぁ。
僕も恋がしたいなぁ。
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