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「ということはその杉浦を好きになったってことか?」
なんだか真面目な顔をして聞いてくる蓮。
こいつ…俺が今まで散々好きだの嫌いだの付き合うだの別れただの繰り返してきたから信じてねぇな。まぁこれまでの俺が100%悪いけどさ。
「今回はまじ。つか今までは本気の好きじゃなかった。たぶん…彼方が初恋だと思う」
普段おちゃらけてる俺が真面目なトーンでそう言うと、とても驚いた顔をする蓮。
「…男だぞ」
その言葉に今度は俺がびっくりする。
「えっ、蓮ってそういうの偏見ある人だっけ?」
「いや、偏見とかじゃねぇけど」
「まぁ同性愛とか異性愛とかよくわからんけど、好きなもんは好きなんだよ。たぶん好きになったらそーゆーの関係ないんじゃね?」
「…そうか」
「安心しろよ。俺が男を好きになったからといって周りの男みんなを好きなわけじゃねぇからさ。襲ったりしねぇよ?」
なんて軽く言ってみるが、同性が好きって言うと自分のことも好きになる可能性があるからって同性の友達が減るって聞いたことがある。
中学の時も隣のクラスがなんかそういうので揉めてたし。
でも俺が好きなのは彼方だけ。
幼馴染の蓮に避けられたりするのは嫌だからどうかわかってほしい。
「…そうかよ」
なんか、響いてなくね?
「いや、だから、同性を好きになることはあっても、ちゃんと友達と好きな奴の区別はあるからな」
「…あぁ」
全然響いてねぇ!空返事じゃん。
「だからぁ、」
「もうわかったって言ってんだろ、うるせぇ」
なんだその投げやりな反応。
わかってねぇじゃん。
「お前、俺を避けるつもりだろ。ゲイとかなんとか言って。そんなことされても避けられてやんねぇからな!お前は俺の大事な幼馴染なんだから!」
ちょっと恥ずかしいけど大声で叫ぶ。
俺の気持ち届け!
「…うん。わかった。別に避けたりなんかしねぇよ。俺にとっても圭太は大切な奴だ」
「…あぁ、よかったぁぁ。そっかそっか、大切か!へへっ…」
一番付き合い長いし、一番仲も良いから、蓮が味方ってだけでこの先友達が何人減ろうがへっちゃらだ。
てか蓮に面と向かって大切とか言われるとなんか照れるな。
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