友達

4/9
前へ
/26ページ
次へ
彼方side 朝早めに学校についてしまった。 なぜかというと、昨日の夜から陽太がすごくうるさいから。 いや、僕を思ってのことなんだろうけど…。 友達に借りてきたらしい漫画を教科書だと言って押し付けてきて…。 読め読め言うから読んでみたら、男の子二人の恋愛漫画で、しかも最初からえっちなシーンで…っ! あんなの、子供が読んじゃいけないものだ! 法律で禁止されてないなら100歩譲って読んでもいいけど、わざわざ兄に読ませるな! 僕はそうやって言ったけど聞く耳も持たない。 僕が読まないと音読し始める。 とんだ弟だ…。 朝もずっとその話をしてきたから仕方なく早めに準備を済ませていつもより早く学校に来た。 僕はいつもわりとギリギリに来るから知らなかったけど、朝は人が少ない。 みんな本を読んでたりしてとても静かだ。 暇つぶしに僕も本を読む。 本っていっても漫画なんだけど。 あっ、えっちなやつじゃないよ? 普通のバトルもののやつ。 友達でこういう漫画が好きな子がいて貸し借りしてるんだけど。 ちょうど今日持ってくる日でよかった。 ハラハラドキドキしながら読んでいると 「おはよ、彼方」 すぐ近くから声がした。 びっくりする…。 「おはよう、圭太くんと藤堂くん」 顔を上げると思っていたよりも近くてまたびっくり。圭太くんも照れたように少し距離を取った。 藤堂くんは軽く会釈して自分の席についた。 「なに読んでるの?漫画?」 「うん、これバトルシーンが面白いんだ」 「そういう系読むんだ?意外かも!かわいい」 バトル系漫画を読むことのどこが可愛いのかわからないけど。 「そうかな?」 「うん!今日も可愛い…」 「ちょ…教室人いるから、そういうのは…」 みんな本を読んでるから静かだしなんだか恥ずかしい。 「あ、ごめん。てかそれ面白いなら今度貸してよ!読んでみたい」 「いいよ。でもこれは今日友達に貸す予定があって…貸せるのちょっと先になるかも」 「へぇ〜全然いいよ!誰に貸すの?」 朝から質問攻めだ…。 「隣のクラスの子だよ」 「ふぅーん、そっか」 あれ、なんか元気ない? 「なんか、彼方って友達多いよね」 「えっ、そうかな?圭太くんも友達たくさんいるよね」 「うん、まぁそうねー」 どうしたのかな? 口を結んで、むっとしてる圭太くんが少し可愛い。 あれ、圭太くんの耳にピアスがついてる! 「それ、ピアスすごく似合ってるね」 僕がそう言うと、圭太くんがとっても笑顔になった。花が咲いたみたい。 「そうかな〜?嬉しい、ありがと!」 昨日のお昼に言ってたやつだ。 今まで気づけなくてごめんね。 「うん、この色すっごく好きだな」 思ってたままの好きな色だったから僕も嬉しくてつい触ってしまう。 「だからそーゆーの反則だって…」 また顔が赤くなってる圭太くん。 圭太くんって本当に可愛いとこあるよね。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加