友達

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朝のホームルームが始まる時間になって圭太くんが席に戻っていった。 先生の話を聞きながら、僕はなんだか少し居心地が悪かった。 周りの視線が痛い。 女の子の視線が。 ひそひそ話が聞こえる。 僕と圭太くんの距離が近い、とか。 あの二人仲良かったっけ?とか。 どうしよう。 今はまだ友達の範囲内だろうけど。 やっぱりこういうのって噂になったりするのだろうか…。 「1時間目の数学って宿題とかあったっけ?」 ホームルームが終わってから、隣の席の高橋さんに聞かれた。 「ないと思うよ。でも最初に小テストあるって言ってたな」 一応教科書を確認して言う。 「あうーだるいー。数学なくなればいいのにー」 「あはは…成績には入んないはずだから大丈夫だよ」 「てか彼方くんって圭太くんと仲良いんだね、朝話してるの見てびっくりした」 どきっ。 心臓が跳ねた。 「あぁうん…最近仲良くなったんだよね」 「へぇ〜そうなんだ!意外!」 「そうかな?」 確かに。 タイプも違うからなぁ。 「何経由で仲良くなったの?」 えぇ…どうしよう。 告白されたのがきっかけだからなぁ。 うーん…。 どうしたものかなぁと考えていたら、 「ねぇ」 突然圭太くんの声がした。 「わ!びっくりしたぁ〜」 高橋さんが言う。 僕もびっくりした…。 ちょうど圭太くんの話をしてたから。 「二人って仲良いの?結構喋ってるじゃん」 圭太くんが聞く。 「え?うん、仲良いよ?隣の席だしね?」 高橋さんが答えた。 「そうなんだ、突然ごめんな。なんか楽しそうだったから来ちゃった」 ニコッと笑った圭太くん。 「えー!なにそれー」 そう言いながら高橋さんはすごく嬉しそうに笑った。 その笑顔がなんだか昨日の圭太くんのキラキラした笑顔に似ている。 そうか…もしかしたらこの子は圭太くんのこと…。 いや、勝手に想像したら怒られちゃうな。 違うかもしれないし。 そうこうしてたらチャイムが鳴る。 「じゃあまた後でね」 圭太くんはそう言って僕の背中をポンと触った。
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