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それから空き時間になると圭太くんが僕の席まで来てお話をしてくれる。
楽しい時間なんだけど、やっぱり居心地が悪い…。
でも親しい友達なら普通のことだろうし、これをやめてって言うのも駄目だよなぁ。
圭太くんと話すのが嫌なわけじゃないし。
でも、わりとスキンシップが多い…。
僕の周りがしないだけかもしれないけど、ぴったりくっついて座ったり、手を繋いだり、圭太くんのノリにあってるからそこまで違和感はないんだけど、僕が慣れてなさすぎてぎこちない…。
友達とは…なんだろうか。
もう哲学だ。
お昼休みになってお弁当を持った圭太くんが僕のところまで来る。
「やっと昼休みなったわー、長かった!」
「僕今日ご飯購買で買わなきゃなんだけど…」
「うん、一緒に行こ〜」
二人で並んで購買まで行く。
圭太くんは有名人みたいで、廊下を歩いてても女の子の視線が集まる。
やっぱりモテるんだな。
「そういえば、藤堂くんと仲良いんだね」
朝一緒に来てるって知らなかった。
「うん、幼馴染で家も隣同士なんだ」
「え!そうなんだ〜。あ、そういえば藤堂くんたちとお昼一緒に食べなくて大丈夫なの?」
確かいつも一緒に食べてたはず。
「大丈夫大丈夫!他の友達もグループで食べてたから俺一人抜けたところで気づかないよ〜」
さすがに気づくとは思うけど。
「そっか」
空き時間で二人でご飯食べてるところ誰かに見られたりしたら変に思われないかな。
んーでも、僕が男同士ってことに敏感になっただけなのかも…。
購買についてお目当てのパンを買おうとするけど、人がたくさんいて進めそうにない。
しかも列になったりしていないから、大変だ…。
30人くらいがおしくらまんじゅうしてる。
ドンッと押されて後ろに飛ばされてしまう。
「おっと…大丈夫?怪我してない?」
圭太くんが後ろにいてくれなかったら転んでた。
気をつけよう。
「大丈夫だよ、ありがとう」
そう言うと、圭太くんはニコリとして僕の頭を撫でた。
こういうの自然とできるからすごい。
「彼方、何が欲しいの?」
「えっと、今日は焼きそばパンの気分なんだけど、たぶんもう売り切れてる」
あれは超人気パンだから。
「了解、危ないからそこで待ってて」
「えっ」
止める言葉も間に合わなかった。
スルスルと人の間を抜けて一番前まで行くと、「焼きそばパンください〜」って言ってゲットしてしまった。
帰ってくるときももみくちゃにされることもなく無事に帰還した。
みんなが圭太くんに当たらないように避けてるようにも見えた。
人気者は違うなぁ。
すごく羨ましいっ!
僕も颯爽とパンが買えたら…!
「はい、焼きそばパンと、あと適当に他のパンと飲み物」
いっぱい買ってきてくれた。
嬉しい。
「ありがとう!1個だけじゃ足りなかったから助かるよ。いくらだった?」
がま口のお財布を出すと
「財布かわいい、俺もそれにしよっかな」
「これ?いいよね、僕も気に入ってる。
あ、それでいくらかな?」
「んー、これくらいちょっとだし、いいよ」
「いやそういうわけにはいかないよ。1000円でいい?」
さすがに…と思ってお札を握らせようとするが受け取ってくれない。
「1000円は高いって!」
「じゃあいくらか教えて」
「駄目です!」
「ええっ、なんで」
「奢りたいの!彼方のこと好きだからなんかしてあげたいの」
そういうあれか…。
「じゃあ今回は有難く受け取ります、ご馳走様です!でもあんまりお金かかるようなのはしないでほしいな」
「うん、なんかごめん。変な感じになっちゃって」
「いや全然!むしろ僕お小遣い少ないから助かったよ?」
「まじ?じゃ毎日奢るわ」
「あ、それは丁重にお断りしとくね」
「えぇぇ、なんでぇ」
気持ちだけ有難く貰っときます。
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