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空き教室について早速ご飯を食べる。
「圭太くんのお弁当、美味しそうだね」
おかずも色とりどりで綺麗。
「なんか食べる?卵焼きとか、はい」
圭太くんが卵焼きをひとつ箸で掴んで僕の口元まで持ってきてくれる。
「いいの?ありがとう」
パクっと食べると、甘くて柔らかくてすごく美味しかった。
「すごく美味しいよ!甘くてふわふわ」
「そう?えへへ…卵焼きしょっぱい方もあるよ」
もうひとつの方も食べさせてくれる。
こんなに貰っちゃっていいのかな。
「しょっぱいの初めて食べたけど、こっちのほうが好きかも!おいしいっ」
僕がそう言うと圭太くんはまた笑う。
「そっかぁ〜、どっち好きかわかんないから両方作ってきたんだ!ほっぺ膨らませて可愛いなほんと」
頬をむにむにされる。
えっ、作ったって言った…?
「圭太くん料理もできるんだね、すごい」
「母さんが用意してくれることの方が多いけどね。今日は彼方と一緒にご飯だったから張り切って作っちゃった」
「すごく上手。どれも美味しそうだよ!」
料理も上手いなんて完璧だな、圭太くん。
僕も帰ったら練習させてもらおうかな。
ひとり暮らしとかする前に必要だよね。
「…全部食べる?」
お弁当を差し出してきた。
「え!いやいいよ、圭太くん食べな」
「俺そっち食べるよ。あ、焼きそばパンは半分こしよ」
「でもせっかく作ったのに…」
パンと交換はもったいないと言おうとすると
「彼方のために作ったから、彼方に食べてほしい」
お弁当を持たされて交換してもらった。
いいのだろうか…。
僕ばっかりいい思いをしてる気がする。
うーん。
「てか、明日からお弁当ふたつ作ってくるからさ、また一緒に食べてくんない?」
「そんな…大変だし、お金もかかるし…本当に大丈夫だよ?」
「ひとつもふたつも変わんないから平気。俺が作りたいの、だめ?」
その聞き方はずるいと思う。
「ごめん、ほんとに申し訳ないから…」
「遠慮しないでいいよ」
「でも…」
「お願い!これからも毎日一緒にご飯食べたいから…」
「ご飯くらいお弁当作らなくても毎日一緒に食べようよ」
「でも前まで一緒に食べてた人いたじゃん」
「それは大丈夫だよ」
その日その日で誘ってくれた人と食べてたからメンバーが決まってるわけじゃないし。
「けど誘われたらそっち行くでしょ?彼方友達多いし、色んな人から誘われるし、それに毎日俺と食べるのいつかは嫌になるかもしんないし…」
「嫌になんてならないよ」
そうきっぱりと言うけど、圭太くんは不安そうだ。
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