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「だって俺ら付き合ってるわけじゃないからさ。彼方が他に気になる人とかできたら簡単にどっか行っちゃうじゃん?」
それは……
「だから今のうちに色々しときたいの。これはほんと俺の勝手だから彼方は気にしなくていいからさ」
僕がきちんと返事をしない限り圭太くんはずっと努力しなきゃいけないのか。
すごく大変なことだし、僕なんかに対してそんな…
それならもういっそ…
「…やっぱり、僕たちこーゆーのやめよう?ごめんね、僕から友達に…とか言っといて」
「え、いや、なし!それはなし、無理!ほんと無理!…こんな好きなのに、ちょっとは頑張らせてよ?お願いだからさ…」
泣きそうな顔でぎゅっと抱きつかれて、何も言えなくなってしまう。
なんだか今日は圭太くん少し不安定で、このまま離してしまうと心配だ。
僕も優柔不断すぎる…。
「…わかった。じゃあお弁当お願いしようかな」
ぱっと顔を上げる圭太くん。
「その代わり、お弁当代は払わせて」
「いやそんなのいらない」
「これは譲れません」
「でも」
「だめ」
お互い譲れない戦いだ。
それは昼休みが終わるまで続いた。
結果として僕の分のお弁当代は出させてもらえることになった。
ただ圭太くんの自己申告だからちゃんとした額を出させてもらえるかは不安だ。
今日は50円とか言われたし…。
お小遣い少ないからって言ったの失敗したなぁ。
でもなんだか圭太くんとの距離が縮まった気がして嬉しい。
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