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圭太side
廊下側から2列目の後ろから2番目の席が俺の席。
彼方は窓際の前から3番目。
微妙に遠い。
けど彼方の横顔が見える。
真剣に授業を聞いてて頑張ってノートをとっていてとても可愛い。
あ、消しゴムで消してる。
間違えちゃった?
彼方可愛すぎる。
最近頭が馬鹿になってる。
彼方が何してても可愛い。
恋愛すると馬鹿になるってまじだな。
「おーい、旭。先生の声聞こえてるか〜」
やべ。
「すんません!聞こえてませんでした」
「だよな〜ずっと横ばっか向いて」
バレてる。
笑うなよ、みんなして。
あ、彼方こっち向いた。
可愛い。
「んふふ…」
デレデレしてたら、今度は後ろから頭を小突かれた。
「んだよ、痛ぇ」
後ろは蓮が座ってる。
なぜか俺ら毎回席近いんだよな。
「痛かったか…?悪い」
「別に大丈夫だけど、つかなに?なんで頭…」
「あぁ…授業中だから、黒板だけ見てろ。勉強に集中しろって意味」
「うるせぇ、お母さん」
周りがくすくす笑う。
俺もにやにやして「ママー」って言いながら蓮の方をちらっと向くと、蓮は真顔でこっち見てた。
やべぇなんかちょっと怒ってるかも。
「ごめん」
「……」
あ、がちなやつ?目そらされた。
なんでそんな怒ることあるのさ。
ノートの端を破って『ごめーんね、ダーリン怒んないで♡』と書いて後ろに投げ捨てといた。
てか彼方ばっか見ててノート全然とってねぇ。
焦って黒板を写してたら、後ろで蓮が笑ってる声が微かに聞こえた。
機嫌直ったな、よかったよかった。
こーゆーちょっとしたボケ昔から好きなんだよこいつ。
頑張ってノート書いてたら後ろからまた紙が飛んできた。
今忙しんだけど?
なんだよ大事なことかよ?と思いながら紙を開くと『いーよハニー♡』と書かれてた。
ふざけんな。時間返せ。
くしゃっとして後ろに投げ返す。
蓮が紙を開けて確認してる気配がするが、そのまま投げ返しただけだっつの。バーカ。
後ろからチッと舌打ちが聞こえて笑ってしまった。
また頭を小突かれた。
そしてまた紙が飛んできた。
『返事は。』
俺が舌打ちをしてしまう番だ。
こんなもん無視だ無視。
『おい。』
『返事。』
『おい、圭太』
だから今ノート書いてんの!
邪魔すんなよ!!
何枚手紙書くんだよ!ノートなくなるぞ。
重なっていく手紙の束にイライラして、大声で叫びたかったが、彼方に聞こえたら変人扱いされるから堪えた。
手紙はまとめてくしゃっとして机の角に置いといて授業終わりに全部後ろに放り投げてやった。
びっくりしてた。
その顔でまた笑っちゃった。
そしたらまた怒りが溜まったのか、返した手紙を俺のスクールバッグの中に突っ込みやがって。バッグの中ぐちゃぐちゃなんだけど?
ゴミはゴミ箱!って叫んでやった。
あ、彼方がこっち見てる。
可愛い。
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