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次の日。
「来週はテスト週間です。良い点がとれるように頑張ってください」
先生が朝のホームルームで言っていた。
そろそろ勉強始めないと…。
教科書のテスト範囲のページをぱらぱらとめくっていると、
「ねぇ彼方、今日の放課後一緒に勉強しない?」
圭太くんが誘ってくれた。
「うん、いいよ」
「やった、嬉しい」
にこにこ顔の圭太くん。
圭太くんが嬉しいと僕も嬉しい。
でも昨日のBL漫画を読んでみて、僕の気持ちが恋愛の気持ちとは違うと思った。
これは友情の気持ちだとわかった。
彼に触れたいとか、一緒にいるだけで幸せとか、そういうのは感じない。
これが恋に発展したら上手く行くんだろうけど、どうしたら恋になるのかもわからない…。
それと、もうひとつ。
気になることがある。
授業中、強い視線を感じることが度々ある。
圭太くんもよく僕を見ているんだけど、それは別に変な感じはしない。
ただその後ろの席の藤堂くんが…。
僕の勘違いかもしれないけど、険しい表情で僕を見ていることが結構あった。
藤堂くんのことはよく知らないから、元からそういう表情なのかもしれないけど、なんだか怖い。
彼の視線は、休憩時間やお昼休みに圭太くんが僕のところに来るときもより一層強く感じる。
ちらりと様子を伺えば、周りと喋っている風に見えるけど意識はこっちに向いているような感じがする。
圭太くんと藤堂くんは幼馴染で昔からずっと一緒にいたみたいだし、友達を奪われたように思っているのかもしれない。
でもその表情が引っかかる…。
なんだか胸がズキズキする。
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