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帰ってからも力が出なくて、昨日みたいにベッドに横たわったままいた。
「彼方ー、ご飯だって」
陽太が呼びに来てくれるけど、食欲がわかない。
「ごめん、今日ご飯いいや」
「…体調悪い?それとも学校でまたなんかあった?」
「…ちょっとお腹痛いだけ、大丈夫だから」
陽太も両親も心配していた。
本当に申し訳なさすぎる。
さすがに着替えなきゃ…と部屋の電気をつけて部屋着に着替える。
ふとテーブルの上に、陽太が置いていった漫画があるのが目に入った。
何気なしにそのBL漫画を開く。
なんとも思わなかったはずの漫画が、今はすごく心に刺さる。
主人公の戸惑う気持ちとか、片思いの辛さとか、また涙が溢れ出てくる。
今日は涙もろくてだめだな。
僕は今誰を思って泣いてるんだろう。
頭に触れると、思い出すのは藤堂くんのことだった。
これが…恋ってやつなのかな。
なんで、よりにもよって藤堂くんに…。
その日のうちに置いてあったBL漫画を全部読んでしまった。
読めば読むほど辛いのに止まらなくて。
また夜ふかししてしまった。
初恋は叶わないって本当なんだなぁ。
始まったときから終わってるなんてね。
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