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長い初恋
蓮side
圭太と初めて会ったのは3歳の時だ。
今ではもうあまり覚えてないが、幼稚園に入園して最初に仲良くなったのが圭太だったと母親が言っていた。
俺の印象ではあいつは何だかどんくさい奴で、かけっこや鬼ごっこではよく転んで傷をつくっていたし、ガキ大将みたいな奴に突っかかられては泣いていた。
そんなあいつが放っておけなくて手助けしては頼られるのが嬉しくてずっと一緒にいるようになった。
最初は本当に弟のように思っていた。
それが変わったのは小学校高学年の時。
幼稚園の時と違って社交的になった圭太にはたくさんの友達がいたが、俺達は特別仲が良かった。
家も隣同士で学校が終わると毎日どちらかの部屋に移動して暗くなるまで遊ぶ。
圭太がいればそれだけでよかったし、他は何もいらないと思っていた。圭太も俺のことをそうやって思ってくれていると考えていた。
だが、圭太は違った。
毎日俺と二人で遊ぶのに飽きたのか、高学年にあがって色気づいたのか、周りの女子と遊びに行くようになった。
俺は圭太が女と一緒にいるのを見ていると何故か胸が苦しくなって、見ないようにした。
他に友達をつくって、他の奴と遊んで、そうやっていれば圭太のことなんか忘れられると思っていた。
でも全然そんなことなくて、他の奴といても少しも楽しくなくて、余計に圭太のことで頭がいっぱいになった。
ある日の放課後、教室に忘れ物を取りに戻った時に圭太と女子がキスをしているのを見た。
自分の目が信じられなかった。
頭が殴られたような衝撃だった。
その場から走って逃げたが、その光景がずっと頭の中にある。
なんで…。
なんで、俺じゃないんだろう。
その時気づいた。
俺は圭太のことが好きになっていたんだと。
いつから好きになったのかはわからない。
けど気づいてからずっと長い間この気持ちは膨れていくばかりで、でも圭太は気づく気配もなくて、重くて仕方ねぇのに抱えていくしかなかった。
伝えることもできなかった。
圭太に拒絶されたりしたら…って考えると、勇気が出なくて。
もう一生隠しきるつもりだった。
誰にも言わずに。
彼女できたとかヘラヘラしてる圭太に笑顔で取り繕って、幼馴染としての距離の近さに一喜一憂して。
今一緒にいれるこの幸せを大切にとっておいて、いつでも思い出せるように。
いつかは、どうせ良い人と結婚して幸せそうにしてるあいつにちゃんと「おめでとう」って言えるように。
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