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きっかけはそんな些細なことなんだけど、その日を境に彼方を目で追うようになった。
同族嫌悪とか思ってたけど、全然同族じゃなかった。
彼方は本当に性格が良くて、皆に平等に接してて、見てるだけで心が温かくなる。
でも誰かと楽しそうに話してる彼方を見ると、何だか胸がちりちりと痛くなる。
俺も鈍感とかじゃねぇし、まさかこれは…と思うけど、あいつも俺も男だし、受け入れられるわけない。
そう考えてこの気持ちを抑えようとしたけど、やっぱり無理で堪えられなくなって…。
「彼女とかとは別れたし、今後関わる気もない。それに今の俺らって所詮クラスメイトだし付き合えるとも思ってない。ただ…その、伝えたくてさ」
真摯に話を聞いてくれた彼方。
その目を見る限り気持ちはまだ全然ないけど、俺は諦めたくない。
初めて好きって感情を教えてくれた彼方に、どうにか振り向いてもらいたい。
「好きだよ、彼方」
唇から言葉が溢れ出るようだ。
今まで言えなかったから、すごく嬉しい。
言葉にするってこんなにも嬉しいものなのか。
好きが溢れていく。
「大好き」
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