告白

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彼方side 夜になって部屋のベッドで寝転んで目を閉じる。 浮かぶのは旭くんの顔だった。 『好きだよ、彼方…大好き』 心臓がどくどくして居ても立ってもいられなくなる。 人から好きって言われるのって、こんなにも… ベッドでばたばたとしていたら下から「うるさい」と怒られてしまった。 息をついて心を落ち着かせて、ベッドの隅に横たわるサメのぬいぐるみを引っ張った。 大きなサメにしがみつきながら考える。 旭くんは今は付き合うとかはいいって言ってたけど、やっぱり最終的には恋人になりたいって事だよね…? 僕に、恋人…? 女の子でも想像できない。 そもそも恋をしたことがないから、恋愛対象がどうなのかもわからないし…。 うんうんと唸っていると、部屋の扉が開いた。 「陽太」 弟の陽太が部屋に入って来る。 「ねぇどしたの?さっきからめっちゃジタバタしてておもろいんやけど」 ケラケラ笑いながら言ってくる。 弟は僕と比べると社交的な方だし、恋人もいるらしい。会ったことはないけど。 相談してみてもいいかなぁ。 「あの…友達の、話なんだけど」 サメを抱えたままベッドに座って話し出す。 「え?あぁうん」 笑顔のまま陽太も隣に座る。 「告白…を、されたらしいんだよね」 「まじ?!おめでとう!」 「いやでも、その人は今まで意識したことがないっていうか…そこまで関わったこともないし…」 「うーん、そもそも彼方の交友関係広く浅くって感じじゃん」 「そうなんだけど…、って僕の話じゃないよ!友達ね、友達!」 びっくりした。 バレたかと思った。 「あーね、うんうん。それで?性格とかは?」 「性格は…僕から見ると、優しい人だけど、ちょっとチャラいって言うか…」 「ほーん、ギャルか。いいな〜。容姿とかは?」 ギャル? 旭くんはギャルではない気がするけど… 「見た目は整ってるんじゃないかな」 「へぇ〜可愛い系?美人系?」 「ええっと…どっちだろう。クラスメイトはイケメンって言ってたけど」 「えっ!男?!」 「あっ、えっと、いや」 どうしよう。 あれ…でも友達の話だし、女の子の友達ってことにすればいいか。 「そうそう!女の子の友達がね、告白されたらしくてね」 「へぇ〜、そうなんだ?ふぅ〜ん?」 怪しまれてるのかな。 いや大丈夫。口は滑らせてないはず。 「そう、それでどうしようかなって悩んでて…」 「その彼は告白の返事すぐ欲しいって言ってたの?」 「あ、いや、とりあえず返事はいいって言われた」 「なら友達として仲良くなっていいんじゃん?それで好きになったら付き合えばいいし」 「でもなんか悪いことしてる気がしてさぁ。もし仲良くしても彼を受け入れられなかったらどうしよう…………、…って友達が」 危ない。 自分の話みたいになってた。 「それをわかった上で相手も言ってるんじゃない?だからむしろこのまま避けたりするほうが可哀想だよ」 「そっか…そうかもなぁ。ありがとう、友達に伝えてみる」 「うん、じゃおやすみ〜」 おやすみと返事をしてまたベッドに寝転ぶ。 強く抱きすぎてサメの首が細くなってた。 あらら…と綿を戻してあげる。
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