友達

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圭太side 『圭太くん』 その声を思い出してまた微笑んでしまう。 好きだなぁ。 こんなに楽しいんだ、恋って。 見れば見るほど彼方を好きになっていくし、見たことない表情とか、声とか、好きなものとか、嫌いなものとか…知っていくうちに俺の心の中も彼方でいっぱいになっていく感じがした。 今なら空でも飛べそう。 明日も一緒にご飯。 何を話そうかなー。 帰り道そんなことばっかり考えている。 「おい、危ねぇって」 不意に右腕を引かれる。 「うおっ」 ガードレールのない道で後ろから来た車に当たりそうになってた。 あぶねー。 「お前こっち歩いとけ」 そのまま肩を押されて歩道側を歩かされる。 「お前は俺の彼氏かよ」 「さっきからずっと考え事か?前見ないと怪我するぞ」 彼氏じゃなくて母さんだったわ。 この少々お節介なこいつは俺の幼馴染だ。 名前は藤堂蓮。 家が隣同士で、覚えてないくらい小さな頃から一緒にいる。 幼稚園も小学校も中学校も…、こいつの方が頭良いから高校は離れるかと思ったけど、高校も腐れ縁が続いてる。 なんか学校と家の距離が近いほうがいいからこの高校を選んだとか言ってた。 結局俺と同じ高校に行きたかったのかねー? 可愛い奴め。 「んー、最近彼方と仲良くなってさ、明日も一緒にご飯食べるんだけど、何話そうかなって」 「彼方…、あぁ、杉浦か。じゃあ明日も俺達と食べないのか?」 「うん、明日以降もそうかも」 そうだといいな。 「…それ俺らも一緒じゃだめなのか?」 「えー?だめじゃねーけど、彼方が遠慮しちゃうじゃん。もうそんなに俺と食べたいなんて、寂しがりやだな!」 蓮の体をつついて言うが反応がない。 なんだよ。 「あ、そうそう。もう名前で呼んでもらえるようになったんだよー。彼方の声で呼ばれるとめっちゃ嬉しくてさ、自分の名前もっと好きになる。しかもあいつすっげぇ可愛いのー。笑った顔とかやべぇよ?」 俺の語彙が死んでんな。 彼方が好きすぎるせいか。 「へぇ。そうか」 「反応うすっ」 惚気に対しての僻みですかー。 まぁ惚気って言えるほどは距離縮められてねーけど。 「つか圭太って彼女いなかったか?」 「んー?別れた」 「なんで?」 「元々好きじゃなかったから?」 「ひでぇな…」 めっちゃ引いてる。 なら最初から付き合うなって話よな。わかる。 でも仕方ない。 真実の愛を見つけるまで時間がかかったんだもんよ。 もちろんしっかり平手くらったよ。 めっちゃ痛かったー。 これも愛のため。 彼方のため!
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