プロローグ

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 さて、皆さんは、『アイドル・シェフ』をご存じだろうか?  アイドルと料理人が融合した、(その当時は)世にも珍しい新しいアイドルの形である。  それまで、数多くの地下アイドルを応援してきた僕は、推しのアイドルたちに、何万円もする握手券や、何十枚も買わなければならないチェキに、CDやグッズにと、金を注ぎ込み、それでも推しのアイドルは遠い存在だった。  そんなアイドルの世界に一石が投じられた。  アイドルと料理人を融合した新しい、アイドルの形だった。  それまでのアイドル業界は、アイドルと言えば、歌やダンスが上手な、可愛い女の子がやるものだった。  テレビのモニターで、パソコンの動画配信サイトで、ときには、ライブ会場に足を運び、僕はアイドルたちを追いかけてきた。  モニターに映る、あるいは、会場で直に見る彼女たちは、歌って、踊って、トークをして、本当に愛くるしい。  しかし、そんなアイドルも、彼女たちと実際に触れ合うことはできない。  握手券を何枚買っても、チェキを何百枚撮っても、それは叶わぬ夢だ。  そんなときに現れたのが、とあるアイドルたちだった。  アイドルと料理人の融合。そんな新しいアイドルたちの登場に、僕は驚きを隠せなかった。
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