第4話 町中華にて

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 キャベツ、白菜、ニンジン、キクラゲ、モヤシ、長葱、そして、豚コマ。  まな板の上で、中華包丁で、食材たちが、瞬く間に均等にカットされていく。  今度は、その食材たちを、油の中に放り込み、ザルで引き上げていく。中華料理の「油通し」と呼ばれる技法だ。  そして、中華鍋を揺り動かしながら、調味料を入れてはかき混ぜる。  次に、綺麗な琥珀色のスープを、お玉で掬いとって、熱された鍋に、豪快に流し入れる。 ジャアアアアアアアアア!!!!  たちまち、蒸気が厨房に立ち込める。  同時に、食欲をそそる香りが、鼻腔をくすぐった。 「はい! おまちどうさま!」と和美。 今度は、夕美の前にタンメンが置かれた。  夕美が、レンゲでスープを掬い、口に含むと、程よい塩気と、複雑な旨味が広がった。野菜の甘みも感じられる。  麺を啜って、喉ごしを楽しみ、野菜のしゃきしゃきした食感を楽しむ。 「うん……美味しい……」と夕美。 満足そうにうなずいた。 完食するのは、あっという間だった。
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