結婚指輪

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それからというもの、僕は指輪の事を忘れて心穏やかに過ごしていた。 昨日から妻は出産のために入院している。 僕は家で1人テレビを見ていた。ふと携帯電話が鳴る。妻からだった。 「もしもし?」 「あ、ごめんね。お守り忘れちゃったから持って来てほしいんだ。引き出しの2番目に入ってるから」 僕は言われた通りお守りを持って病院に向かった。バスの中で僕はある違和感を覚えた。 この安産守り、やけに重くないか? 僕はそっとお守りを開いた。その中身を見た瞬間、背筋が凍った。 中に入っていたのはあの売ったはずの指輪だった。しかも僕と妻の分2つ。その数字は1から0へ変わった。 その途端、大きなブレーキ音と共にバスが左に傾いた。それが僕の最期の記憶。
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