プロローグ 音楽雑誌「M・M」****年十月号

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・「結構突然でしたよね、今回のツアーを決めたの」 F「ええ」 ・「しかも、ツアーの最後にはあの***市で」 F「はい」 ・「向こうから何か要請でもあったんですかね?」 F「いえ別に。ただずっと行ってなかったから、行こうと思ったんですよね。ほら、うちってあそこの出身のバンドでしょう?」 ・「あ、そうでしたね(笑)」 F「(笑)それとも何かあるように見えます?」 ・「見えますよ(笑)」 F「困ったなあ。結構理由は単純なんですよ。今回のアルバムが案外すっとできたので、スケジュールも上手く組めたんですよね。そこでまあ、余裕ができたから、故郷へ一度帰らなくては、と思った訳で」 ・「でも結構出入りには厳しい所だし」 F「何か他意があると思われても困りますけどねえ(笑)」 ・「普段が普段だからですよ。BBはいきなり何をやらかすか判らないから」 F「そんなことはないですよ。結構ウチは、真っ当なことを、真っ当にやろうと思っているだけなんですって。昔からそうなんですけど、本当、それだけなんですよね。ただそのまっとう感がややずれているのかもしれないけれど(笑)」 ・「ではBBの、FEWの『真っ当』なことというのはどういうことなんですか?」 F「んー…… だから、いい曲を作って、納得行くように、俺だったらまあ、歌って、トキならアレンジしたり、ベース弾いたり…… とにかくBBの音として、流行とかそういうの関係なしに、俺達の作りたい音を納得いくまで作って、それをちゃんとPRして、……聞かせる努力は必要ですよ。どれだけいい曲いい音作ったって、聞かれなくては意味がないですからね。で、思う存分ライヴをする、と。それだけなんですけどね」 ・「うーん…それだけ聞くと実にまっとうですよね(笑)。なのにどうしてBBがソレをやる、と聞くと、突拍子もないことに思えてしまうんでしょうね?」 F「どうしてでしょうね。俺が聞きたい(笑)。でも昔からウチはそういうこと言ってましたし。ああ、仲が良かったバンドの奴もそういうこと言ってましたがね」 ・「例えば?」 F「結構変わった名のバンドだったから、なかなか正式名称をきちんと覚えてもらえないとか(笑)。アルバムタイトルの方が短い方が多いんで、逆に思われちゃったりとか。(笑)そういう基本的なことができてないんだ、とよく俺も愚痴聞かされてましたね(笑)」 ・「なるほど(笑)。では最近はその当時の気持ちを取り戻したような感じで?今回のアルバムは、何か、勢いがもの凄いですけど。何かもう、勢い一発、という感じで」 F「(笑)あれですよあれ、線香花火の消える前の一瞬」 ・「サポート・ギタリストにも、だから若い子を入れたという噂も(笑)」 F「ああ、まあ確かに若いですね(笑)。一回り以上違うんですから。俺も歳をとった訳ですよ。でも腕は確かですよ本当。俺もかなりびっくりした」 ・「女性でしたよね」 F「はい」 ・「よく入れましたね」 F「失礼ですよ(笑)。実際、偶然ですよ。今回、時々うちのサポートの方も予定が立て込んでいて、それでサポートのサポートを探していたら偶然…そういう偶然なんて滅多にないし。それでまた、彼女の音がまた、うちのいつも一緒にやってくれているサポートに近いんですよ。かなりパワフルですよ。女の子の音なんて絶対に思えない」 ・「今度聞かせていただきます(笑)。で、アルバムの方、私も聞いたんですが、いったいどうしたんですか」 F「そう来ましたか(笑)」 ・「何か話をずらそうずらそうという趣が」 F「いや別に。ただ勢いは良かったと思う。とにかく細かいことは抜きにして、勢い一発で行こう、と思ったんですよ」 ・「そういうのってBBとしては珍しいですよね。わりあいBBは何だかんだ言っても作り込む方じゃないですか」 F「実際、ライヴではうちってそうですよ。俺だって歌が上手くてヴォーカルやっているヒトじゃないんですから(笑)。何よりもその場の勢いが大事。だけど音源にする時には別。結構作り込んでしまって」 ・「個人的に言わせてもらえば、今回のは好きです」 F「今回だけですか?(笑)」
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