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お目当てのエビは
それがつい昨日の出来事なのだ。
日用品を買い終えた真治は、一旦車に戻って荷物を置き、左手にあるペットショップへ向かう。迷いもなく、水槽の並ぶ売り場へ。お目当てはエビだ。小さなビニール袋に五匹ほど入って、陳列されているのを知っていた。
いつもはたくさん並んでいるのに、きょうは棚の上に一袋しかなかった。袋を取り上げて眺める。五ミリほどの小さなエビたち。たぶんミナミヌマエビだな。本当は、もう少し大きいヤマトヌマエビが欲しかったが。
暇そうにしている店員を捕まえる。二十代半ばくらいの男性店員。あどけない、頼りない、やる気もなさそう。鳴海と同じくらいの年頃だ、と思うと、なんだか萎える。
「エビ、これしかないの?」
「そうっすね。子供たち、夏休みに入ったんで、みんな売れちゃったみたいっす。」
「これって、この大きさでおとなってこと?」
店員は袋を持ち上げてなかを眺め、
「そうっすね。これで、おとなっぽいっす。」
と言った。真治は、「言葉遣い、いろいろおかしいだろ。」と思ったが、黙ってそのエビを買った。
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