who are you?

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資料室って遠いなぁ。 歩きながら、僕はあの夜のことを思い出していた。 「おーい、大丈夫だった?ごめんねえ?怖かったよね。はいこれ。」 その時もらったパーカーは、今でも自室のクローゼットにしまってある。 あの日、月明りで照らされた金髪と何個もついたピアス、それに胸元の大きな羽。顔を見ることができなくて、また会えたらお礼、したいのに。なんであいつらは顔見て、話して…むかつく。僕の方が先に出会っていたのに。 なんてぐるぐる考えていたらいつの間にか資料室についていた。 あれ…電気、ついてない?もしかして行き違いになっちゃったのかな。 扉をそーっと開ける。 「おーい、楪くんー?」 返事はない。 「うーん、いないのかな」 扉を閉めようとしたとき、カサっと奥で音がした。 ん? 奥まで進んでいくと、まず足が見えてー 「楪君⁉」 楪君が倒れていたのだ。 「ちょ、大丈夫⁉」 「ん…?誰?」 「あ、鈴木です。小道具班の人から昼休みだよって伝言…」 「ああ、ありが…」 「おい、ほんとに無理すんなって…あっつ!おまっ。とりあえず保健室いくぞ」 「いや、大丈夫だか、」 またも倒れそうになる楪君をそのまま抱えた。 「え、ちょ」 「いいから、保健室までだから。ここ人通り少ねえし見られねえだろ」 「いや、でも」 「とにかく行くぞ」 お姫様抱っこの体勢のまま保健室に向かう。 コテン、と頭を僕の胸に預けてくれてそれがすごく可愛…いや今僕何考えた⁉ それに、なんだかどこか知っているような、懐かしいような香りがした。 なんだか脳が溶かされていくような、そんな気分になった。 「失礼しまーす。あれ?先生は…そっか今日土曜だから…。」 とりあえず、ベッドに寝かす。 メガネ…は外して。 「むぅ…ん」 楪君が辛そうに頭を枕に沈める。 …ん?なんか、髪が… スルッと何かが落ちた。 「え!?!?!?」 なんと、楪君の黒髪の下に隠れていたのは金髪だった。 「はっ!?えっと、熱かったのかな…」 サイドテーブルにウィッグをおいて、改めて楪君を見る。 辛そう…そうだ、冷えピタ! 冷蔵庫の中に発見。 冷えピタをはったら少し落ち着いた…かな? 「でもまだ熱そうだし…ごめんね!これはただの介抱だから!」 ネクタイを外して、シャツのボタンを2つほど開けた…のだが。 「え……これって…。」
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