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パチ、と目を開けると知らない天井が目に飛び込んできた。 手探りで眼鏡を探す。あ、あった。 っと。体を起こすと、 「うわぁ⁉」 「んぁ?あ、楪君、起きた?」 「あき、鈴木君⁉なんで?」 横で明人がうたた寝(たぶん?)していたのだ。 「え、あー、楪君が資料室で倒れてたからさ。熱ひどかったんだよ?これ、ポカリ」 あー、介抱してもらったってことか。情けねえ。 「あ、りがとな」 「それでさ、あの、楪君は…その、」 「ん?」 「エンジェルサタンなの!?」 「!?!?!?!?」 盛大にポカリを噴き出してしまった。 「ゴホゴホっ。な、なんで急に」 「ごめんね。わざとじゃなかったんだけど、その、あまりに辛そうだったから」 ん?そーいや妙にスース―して…サイドテーブルに目を向けると、見覚えのある黒いモノが…サーっと血の気がひく。 「その、胸のとこので確信…してさ」 「あ…」 ここまで見られてんのかよ。言い逃れは厳しそ―だな。どうすっかな。 「あの!ありがとうございました!」 「…は?」 「あの、覚えてないかもしれないんだけどさ、ひと月くらい前公園で助けてもらって…」 ひと月前…公園…。 「あー!あの時のカタギ明人だったの⁉」 「う、うん」 あー、そういや公園に思い出があるとか何とか言ってたっけな…そういうことかよ。 「僕ずっとお礼が言いたくて」 「あー、いいよそんなん。それよりさ、このこと、他の奴らには言わないでほしいんだけど。黙っててくれるならひとつ頼みくらいは聞いてやるからさ。」 「え…」 「口止め料ってんだよ。何が望みだ」 「いや、僕ほんとにただお礼したくて…」 「それじゃ俺の気が済まねえんだよ。ここまで介抱してもらっちまったしな」 「じゃ、じゃあさ」 「おう。いくらだ」 「僕と友達になって」 トモダチニナッテ…?? 「は?」 「だからその、楪君と友達に、なりたいなって…」 「だめだ。」 「え、やっぱり迷惑…?」 「ぐ…そうじゃなくてな。前も言ったけど、俺とお前じゃ住む世界が違うのわかんだろ?お前を巻き込みたくねえんだよ」 「じゃ、じゃあ学校にいるときだけでいいからさ!」 うーん、それならまだ大丈夫か?変装さえすれば学校でも大丈夫だろうし…なんでも頼みはきくといった手前むげに断るのもなんかな…。 「わかった。学校にいる間だけな」 「あの、もうひとつだけいいかな」 「何?」 「あ、もう2つ」 「なんだよ、急に」 「名前で呼んでもいい?さっき明人って呼んでくれたよね」 「それは…っ」 「僕も悠矢って呼んでもいい?友達になったし、さ」 「はあ…なんだそんなことか。いいぜ。もう一つは?」 「あ、連絡先…」 「あー、わかった」 連絡先を交換してその日は帰った。昼からずっと俺につきっきりで看病してくれたらしい。クラス〇INEを確認したら、俺が発熱してることと、だいぶきつそうだから自分は一緒にいる、あんま弱ってるとこみんなにみせたくないらしい、とも言ってくれていた。 「お人好しなんだよ」 その日は久々に熟睡できた。何年ぶりだったろう。
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