24人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしようね…。」
文化祭まで残り1週間というところで事件は起きた。
「ほんっとごめん!」
「まさか千歳がね…」
「このタイミングで交通事故か…」
「でも無事でよかったよ。骨折だけで済んだんだろ?」
「おう…でも劇が…」
「そうだね。誰かに代役を頼むしかないけど、この量のセリフを覚えてもらわなきゃだからな…。それに千歳と近い体格じゃないと衣装が入らないし…。」
「あ、あのさ、それ楪君とか、だめかな」
は?何言ってるんだ坂本さん。俺はそんな目立つことしたくないぞ。
「ん?楪君…いいかも!」
「は?」
「だってさ、確かに千歳君と背格好似てるし。それにたまに鈴木の自主練に付き合ってるんだろ?セリフも覚えてるんじゃないか」
「え、ちょっと、」
「安永。確かにそれはそうだと思う。」
「おい、あき、」
「でも悠矢の意見は無視か?」
「……っ。ごめん。そうだよね」
「俺は…やりたくないな」
「鈴木君、楪君。申し訳ないんだけど、実際問題楪君しかできる人はいないと思うの。千歳君と似たような体格の子はみんな他のキャストだし。無理言っちゃうけどお願い。」
「委員長…」
え?これは…断りづらいなぁ…。でも目立つのはちょっとなぁ。
「悠矢。僕からも頼む。できる限りサポートするから」
「え、明人…えーっと、少し時間頂戴」
クラスメートの視線が背中に刺さったまま教室を出た。
はぁ。めんどくさいことになったぞ。
最初のコメントを投稿しよう!