明人の過去Ⅱ

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明人の過去Ⅱ

でもだんだん様子がおかしくなってきてさー 学校に親戚のうちから通うって話だったはずなのにいつまでたっても通わせてもらえなくてさ。それどころか、家に軟禁状態だったというか。外に出してもらえなくなっていったんだ。ご飯とかもだんだんまともにもらえなくなったし、殴られたりけられたり、おじさんの機嫌によっては刃物だされたりさ…まぁいわゆる虐待だよね。それを受けてて。母さんたちからの養育費目当てだったんだろうね。今考えると。 ああ、逃げようとはしたよ?でも子供の考えてることなんてたかが知れてるからさ。まぁすぐに連れ戻されちゃって。外面だけは良いからさ、周囲の大人は何を言っても信じてくれなくて。僕達兄弟はもうだめだって思ったよ。 ある日、おじさん夫婦が旅行で3日ほど家をあけることになったんだ。そのころには、僕らは足枷を付けられて生活しててさ。ご飯もろくに食べてないことで体力もないし頭も働かないしで逃げようって気になれなくなっていたんだ。 でもね。 悠真は違った。僕の弟はとってもかっこよかったなぁ。 「あきにい、俺がぜってぇ助け出すから、待ってて」 そういって悠真は外に出ていったんだ。毎日少しずつ削ってたんだろうね。足枷の鎖をやすりか何かで切っていたみたいだ。 僕はそのまま寝ちゃってさ。 気がついたら、僕は警察にいた。 詳しいことはわからなかったけれど、誰かが通報してくれたみたいで、そのおかげでおじさん夫婦は逮捕された。 今でも不思議なんだけどさ。あれだけ周囲に訴えても伝わらなかったのにこんなにすぐ逮捕されるなんておかしいと思わない?まるで他の力が働いたみたいにさ。 僕は悠真がやってくれたんだと思ったんだ。家を出ていく前の約束を果たしてくれたんだなって。 でもその日、悠真は帰ってこなかった。
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