明人の過去Ⅱ

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「親父…何してんだ?」 「んー?」 あの後、家に帰ると親父が鼻歌を歌いながら机に何かを広げていた。 「何って、息子の晴れ姿♡」 「は?」 「赤ずきんちゃん、かわええなぁ」 「は⁉観に来てたのかよ⁉」 「観に行くって言ったやんけ」 「いや、立場ってもんを考えろよ…あんた組長だろ…」 「えー?せやって実力的にはお前の方が強いやんけ。高校出るまでは組長にならんゆうたんはお前やで?俺はいつでも継がせる気なんに。」 「だーかーらー、それは、」 「それにな、立場なんていうんやったら、俺はお前の父親なんやけど?父親が息子の舞台観に行ってなにか問題でも?」 「あー言えばこういう。わーったよ」 「それはそうと、悠矢」 空気がガラッと変わった。やっぱり、組長はこの人にしかできないと思う。 「どないするんや」 「やっぱ、聞こえた?」 「いや、口の形で。俺にしかばれてないと思うで」 「そうですか…俺はただの友人として過ごしていくつもりだよ。このままもっと踏み込まれるなら転校も視野に入れる」 「そうか。そこまで覚悟決まってんねんやったら、俺から言うことないわ」 やっぱり親父には適わないな。
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