ハロウィンがやってくるようです

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数日後、悠矢達が僕の家に来た。 期末も近いので、勉強会を開催することになったのだ。 「なぁ、ホントに今日夜までお邪魔してていーの?」 「大丈夫だって。父さんも母さんも今日いないからさ。父さん達いたら落ち着いて勉強できないだろ」 最寄りの駅で集合してみんなで来たんだけど、悠矢は無言のままだ。 もしかして、本当は今日も仕事が入っていたのだろうか…無理させちゃった? 悠矢の秘密を、僕だけが知っている。悠矢は、16歳という若さで楪組若頭であり、天使の悪魔(エンジェルサタン)という通り名で恐れられているのだ。 いつも忙しい中高校に通い、最近は僕らとも遊ぶ時間を作ってくれている。 今日は少しでも、悠矢にとって心休まる1日になったら良いな…。自分の立場を忘れて…というのは厳しいかもしれないけれど、楽しんでほしい。 けど… 「明人君と悠矢の住んでる世界は違うっちゅうことや。高校卒業したら、悠矢のことは忘れてやって」 ずっとこの言葉が心臓に突き刺さっている。突き刺さったところが膿んで血が滲み出ている…そんな感覚だ。 「ま、まずは飯だな!」 「「「おじゃましまーす」」」 千歳達の言葉に現実へと戻された。
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