アナザー赤ずきん

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「それではキャスト、スタッフを決めていきたいと思います」 後ろの生徒、楪悠矢というらしい。彼とは一度も話せないまま1週間たってしまった。いつもぼさっとした髪型で眼鏡もかけており素顔は見たことがない。誰かと話す様子もないし、まさにこのクラスの空気と化している。 「私としては狼を鈴木君、赤ずきんを蓮山君にお願いしたいんだけどどうかな」 「僕は良いけど、蓮山君は?」 「俺は…わりぃけどやりたくねぇ。」 クラス中に落胆の感情が蔓延しだした。 これはよくない方向に向かってしまう。軌道修正しないと。 「他にやりたい人とか、推薦したい人とかいないか?やりたくない人に押し付けるのは違うだろ?」 「そ、そうだね鈴木君。ごめんね蓮山君。勝手に話進めちゃって」 「いや、こっちこそ期待を裏切っちまって悪いな。それ以外の役ならいいんだけど」 「え、ほんと?ありがとう‼じゃあ、出番は少ないけど執事役とかどうかな。最後の方のシーンで出てくる役。」 「それでいいなら、やる。」 今度は歓喜がクラス中に。蓮山の執事姿か。確かに需要がありそうだ。 それで赤ずきん役は誰がやるかという話になったんだけど、蓮山と仲がいい千歳 一(ちとせ はじめ)君に決まった。 その後は割とスムーズに決まっていき、楪君は小道具班に入っていた。一番人数の多い部署だ。
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