人になれない僕たちは

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「獅温、僕はきっと永遠に君を離さない。お願いだから僕の目の前からいなくならないで」 「元よりそのつもりだけど。れおんこそ、逃げ出したら地の果てまで追いかけてやるから」 じゅるじゅる。 「れおん、俺の血好きだね」 「ん、美味しい」 「そっか。好きなだけ飲んでいいけど、俺ももう我慢できないっ」 じゅるるっ。 僕たちは1日に一回自害しないといけないし、他人を殺すことも生かすこともできてしまう。 吸血は、生や死に関係ないことだ。 でも、僕らにとって吸血行動がお互いの存在を最も濃く感じる事ができる行為だし何をおいても大切な時間だ。 生や死と関係ないことをして、そんなこと頭から追い出して目の前に横たわる事象を貪る。これが人間、というものなのかもしれない。
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