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【あー、質問いい?】
「お!?」
くーちゃん以外の書き込みだ、IDが違う。わくわくしながらなんでもこい、と入力する。
【やまびこって身体能力良さげなほう?】
【体調万全なら。何せ最近忘れ去られて弱ってたから。あ、でもさっきやまびこの仕事してちょっと回復した】
【ああそう。えっとな、ただのお節介なんだけど。くーちゃんって絶対名乗ってから書き込みしてたじゃん。でも何食べる、のところ】
ちらりと見れば、確かに。必ずアタシくーちゃん。で始まるのに、食べ物の話題は「ご馳走」と書かれている。
【トイレの花子さんは便所を三回ノックしないと出てこない、みたいにさ。その妖怪の条件ってあるじゃん。メリーさんもそうだな、私メリーさんって始まる。絶対にね】
「まあ、そうだな」
文字に思わず声で返事をしてしまう。ボッチの癖だ。
【くーちゃんは絶対名乗りをあげないといけない縛りがあるとしたら。ご馳走、って答えた所ではもう自分のテリトリーに君が入っちゃってるからってことない? 名乗る必要がない、みたいな】
「は?」
やまびこは山にいる。そこはやまびこの縄張りなので、人魚が来たとしたら当然やまびこの方が強い。場所の特徴というだけではない、その場が魂の居場所だからだ。やまびこは山で最強なのである。
つまり、くーちゃんの縄張りに自分は入ってしまっているからということで。
「え、ちょっと待って」
【いるんだよ、妖怪で。妖怪食いの妖怪。喰羅っつってさ、その土地を離れることができない妖怪を食いに行く】
【黙れ殺すぞ】
突然の書き込みに全身の毛穴が開く気がした。
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