古びた遊園地

1/1
前へ
/1ページ
次へ

古びた遊園地

かつては 笑顔に満ち溢れた かの観覧車も 今では ツタが覆ってしまって 人々は近づかない かつては 歓声が空を貫いた かのコースターも 今では 閑静な夜を演出し 人々の記憶の中 かつての輝きが 虚構だったことを 肯定するものばかり そこいら一帯だけが まるで厚い雲に覆われたように まるで明けない夜に呑まれたように 暗く沈んで浮き上がらない ただひとつ かつての輝きを 肯定するものは 入口に佇む 老夫婦
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加