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そんなことになっているとは知らない多江は、一階のインフォメーションに先にたどり着いた。カウンター内に紺のきっちりとした制服姿の店員が二人いた。
「お手数をおかけしますが、三歳の娘とはぐれてしまって」
多江の問いかけに店員がすぐにメモを取る態勢になった。
「お探しなのですね。お子様の特徴をお知らせください」
「はい」
多江は美央の特徴と、『魔法使いキラリン』のキャラクターのTシャツを着ていることを伝えたのち、三階の子供用品店で娘が誰かに連れて行かれたかもしれないことを伝えた。
店員はすぐさまカウンター内の電話でどこかへ連絡しだした。
もう一人の店員が館内放送をしだす。
「迷子のお知らせです。○○からお越しの川崎美央ちゃん。お母さまがお探しです。一階のインフォメーシにいらしてください。美央ちゃんは『魔法使いキラリン』のTシャツを着ている三歳の女の子です。お見掛けした方は──」
館内放送はまだ続いていたが、何処かに連絡を入れていた店員が受話器を置いて多江に向いた。
「警備室で出入り口の防犯カメラのチェックをしております。他の警備員は店内を捜索しております。今しばらくお待ちくださいませ」
機敏な動きに礼を言うも、こうなると待つことしかできない多江だった。
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