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scene 01.
明かりの消えた舞台の上。
静寂な夜を思わせる音楽が流れる中、スポットライトがあいつを照らし出す。
ゴテゴテ飾りのついた衣装に身を包み、膝をついて、バルコニーから自分を見下ろすドレス女子に手を伸ばしている。
高校の文化祭。演劇部でもないのに、助っ人を軽く引き受けて、あいつはシェイクスピアとかいうおっさんが昔書いた長ったらしい台詞を、朗々と歌うように並べ立てた。
うっとりとそれを見つめるドレス女子。
つい、その子に自分を重ねてしまう。
愛の言葉をこれでもかと浴びせてほしいと願ってしまう。
――叶うはずもないのに。
ガキの頃から、ずっと好きだった。
同じ性別であるあいつを。
いつから好きかなんて分からない。もう、気づいたら好きになっていた。
俺は、ずっとこの想いを抱えて生きていくんだ。また改めてそう感じて、ぎゅっと胸のあたりを押さえて、舞台のあいつに視線を戻した。
急ごしらえのロミオの声は講堂に響き渡り、余韻が俺の心を掴んだ。――そして客席へと振り返ったその瞳は何故か。
俺を映し、にっこりと微笑んだ。
2024/08/08
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