scene 05.

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scene 05.

 眩しい朝日が、神社の床下まで入り込んで来る。今日も一日が始まる。神社の人間達は早起きだから、そろそろ庭掃除に出てくるかもしれない。  俺はリックのもふもふした腹の毛に包まれたまま、そっと片目を開けた。が、またすぐに閉じてしまう。  起きたとしても、猫の身の上で特にやることもない。この神社は『地域猫の餌場』とやらで、決まった時間にご飯が出てくるので、狩りに行く必要もない。  リックは「腕がなまる」とか言って、よく雀を追いかけたり、犬にケンカを仕掛けたりしてるけど。   俺がモゾモゾ動いたのでリックが「う〜ん」と大きく伸びをして、薄目を開いた。 「起こした? ごめん」  慌てて謝ると、 「……もう少し寝てろよ」  と、欠伸をした。  リックはこの辺りのボスだ。  流れ者の俺にも親切で、いろいろ世話を焼いてくれる。  こうして寝床も貸してくれている。おかげで俺はすぐに馴染むことができた。  いずれ……ちゃんと、恩返しができたらいいな……。  まどろみの中、そんなことを思いながら、また夢の中へ。  いつもありがとね、リック。  口に出ていたかどうか、自分では分からない。でも、リックの 「俺は、お前がいてくれたらそれでいいんだよ……」  とぼそりと呟く声を聞いたような気がした。  2024/08/15
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