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力を緩めると、手のひらがパチッと弾かれた。
ガラガラ中身がゆっくり重く動く音がした後、一瞬の静寂がおとずれる。
銀色に輝く、傷のついたひとつの穴から、綺麗な放物線が描かれる。
そして、すぐにカランとひとつのたまが落下する音がその場に響いた。
「……あ」
「はぁい、残念!5等賞だねぇ!」
上から、おじさんの元気な声が降りかかる。
そう。俺はたった今、ひとつの戦いを終えた。
商店街の福引という名の。
俺は、水色のキャッシュトレーに転がるハズレの白い玉を見て項垂れた。
陽気な魚屋のおじさんは赤いメガホンを振り回し、プラスチックかごに入った山盛りのポケットティッシュを5個手渡す。
「じゃあ、次のお嬢ちゃんどうぞぉ!」
おじさんが俺の後ろに並んでいたフリルワンピースの女の子に声をかけた。
1等、グアム旅行!と威勢のいいポスターの文字が風に揺れている。
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