ハズレだま

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「これで最後か……」 俺はそう、小さくつぶやいた。 ひとつ、ふたつ……。みっつか。 目の前には、いくつか用済みのが散らばっている。 それらを指さし、意味もなく数えあげて肩を落とした。 非常に情けないことではあるが、それらは全て不発で、可哀想なくらい冷たく転がっている。 イメージは完璧だった。 角度、タイミング、力加減。 技術面に余念はない。 集中力や動体視力。 自身の能力、体調面もすこぶる良かった。 今日は全てがそろった最高のコンディションである。 それに加え、非科学的ではあるが神にだって誓ったし、日頃の行いを少々悔やみつつも、お天道様に一生懸命拝んでいた。 そう。俺の残念すぎる単細胞アタマで思いつくようなできることは、全てやった。 それなのになぜ、いまだにひとつも当たらないのか。 心底、不思議である。 ここまでくると最早、なす術なしか。 俺は若干、戦意喪失気味の中、軽く首を傾げ、汗ばんだ手を2度ジーンズに擦り付けた。 そして再び、少し錆びた金属部分に手をかける。 さっきまで握っていた時の熱は、既に感じられずすっかり冷めていた。 これまでの歴戦の戦士たちによる汗の影響か、この金属部分はうっすら茶色に酸化している。 あぁ、そんなこと考えてる場合ではなかった。 俺は頭の中から邪念を振り払い、ただならぬ緊張感の中、片目をつぶり、そして手に力を込めた。
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