VI

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VI

 僕は終業後に並デザに来ていた。無事、根回しが済んだところで、恩師は思い出したようにこう言った。 「おぉ、木之下。西条が来てるぞ」  就職先がブラックな西条さんは、たまにこうして相談に来るのだとコッソリ教わった。  そういえば彼女の連絡先を知らなかったので、僕は彼女に連絡先を聞きつつ、雑談することにした。 「一個下だけど、絡んだことなかったよね」 「は、はい。私一年の頃はあまり真面目な学生じゃなかったので」  僕は西条さんに聞いてみたいことがあったのを思い出す。 「なんでキャラデザを?」 「えっと。キャラクターは全国どこでも見てもらえるからです。私が創ったキャラを見てほしい人が居てーー」  どこか遠くを見るような目だった。 (生き別れた親とか居るのかな)  そうこうしていると、見覚えのある子に話しかけられた。 「卒業生の方々ですか?」
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