VI

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 おかっぱの子に僕は自販機で紅茶を買って渡した。 「映像科1年、田丸です。先輩方、ハッキリ言ってこの学校出て良いことありました?」  僕達は顔を見合わせる。 「僕はある。けど、君は何か現状に不満がありそうだね」 「不満......!」  田丸さんは堰を切ったように喋り始めた。 「皆、お客様みたいな感じなんです。教えて貰って当然、みたいな。正直入学してガッカリしました。今時のワナビーはSNSでもうやってるんです! こんな専門学校とか通わなくたって、大衆(ネット)で戦ってるしーー」  田丸さんは暫く喋り続けた。 《あたし、ずっと独りで創ってきたんで》  ふと、黒須の呟きを思い出した。もしかしたら、僕達より下の代はあまり集団制作をしたことがないのかもしれない。僕は躊躇わなかった。 「ねぇ、一緒に作らない?」
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