VIII

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VIII

「じゃーん! しかうま丸! 作って来たよ〜!」  後日、御堂さんが持って来たのは巨大な白い塊。指示通りに組み立てると複数の鹿と馬の合体したオブジェになった。頭は鹿、その他は馬である。下準備をした後で軽快にピンクとオレンジの画材で塗られた謎生物達は目を引く。 「夢に向かってくなくてもやるない、例え鹿になってもーーという先輩からのありがた〜いメッセージを込めておきましたぁ」 「ホンマか?」 「じゃあ、私は鹿と馬のキャラをデザインしますね」 「あのっ、そのキャラ、動画で使わせてください!」 「WEBにも〜!」  学祭が近くなり、学校に残っている学生も多くなってきた。ざわざわと学生達が空き教室を覗きに来ることもある。 「なんだろうアレ」 「卒業生だってよ」 「なんか楽しそう」  僕は用意しておいたとあるメモと黒のペンを持って、在校生に声をかけていく。 「おいで。一緒に描こうよ」
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