プロローグ

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【次の日、会社にて】 「なんだ、木之下もこの日居ないのか」  勤務先、ステラデザインのチャットで出張申請のPDFを送ると、アロハシャツの社長が頭を掻いたのが見えた。 「え?」  嫌な予感がした。  マリメッコ柄のワンピースの黒髪女性が回転椅子を回しながら振り返って、紙をヒラヒラとさせる。彼女は2個下の新入社員、黒須麗奈。僕と入れ違いではあるが、同じ専門学校の卒業生である。 「ほら、言ったでしょ社長! あたし達、未来の社員を育てにいくんだって!」 「あたし達......?」  僕は渋々彼女から渡された紙を受け取る。  講演会の正式な招待状のようだ。僕には来ていない。そして、彼女経由で恩師から僕へのメモが入っていた。つまりーー。 「星並デザイン67期生、首席はあたしですからね。先輩はあたしの補佐です!」
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