III

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「なんで23にもなってお前等と一緒に学祭の展示するんだヨッ!」 「あは、超楽しい。何つーくろー!」 「頑張らせていただきます」  突然押し付けられた展示物製作に、僕たち卒業生は三者三様の反応をしていた。 「黒須、どうした?」 「んーなんか、今年こんなのやる理由、心当たりがある気がして。ちょっと行きましょ」 「お、おい」 *  そこは、普段の授業の成果物が展示されている部屋だった。どうやら学祭に向けて並べられているらしい。  黒須はぐるりと一周回って、舐めた顔をした。 「ヤバ。クオリティ低すぎ。こんなのどこの企業にも引き取ってもらえないって」 「発言。......いや、確かにこれは」  言い方は良くないが、ここにある作品のどれもが在学時の僕以下の実力ーーつまり駄作だ。課題をそのまま模写して、何も創意工夫した形跡がない。やっつけ仕事だ。 「まだ7時なのに残ってる人も殆ど居ないし、まだSNSで趣味の同人誌作ってる人の方が上手ーーあ」  視線に気がつくと、廊下からおかっぱ頭の小さな女の子に睨まれていた。 「行っちゃった」
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