IV

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IV

 空き部屋で黒須と僕は恩師に話を聞いていた。 「つまり、在校生の作品だけでは入学者を募れないぐらい質が落ちてるんですね」 「察しがいいなぁ」  専門学校の運営は、その殆どが入学費で賄われる。教育機関ということで税金は優遇されているが、入学者が少なければ廃校だってあり得る。 「このことは他の3人には黙っててくれ。素晴らしい広告と引き換えに将来の才能を引き渡しても良い。頼む」 * (学生の技術力低下は死活問題だ)  母校がなくなるかもしれない。  そんなことにならないように、今居る学生にも新しく入ってくる子達にもデザインの楽しさを届けられる展示をしなければ。  作戦会議をしている3人の元に戻ると、既に話し合いは終わった後だった。 「もー、どこ行ってたの!」 「おい、お前ら。この後面貸せや」
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