IV

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*  居酒屋で5人。生ビールで乾杯した後、僕達は思い出話で盛り上がった。学年の差はあれど、先生の入れ替わりが少ない専門で共通の話題は多い。 (懐かしいな)  僕は専門では輝ける側ではなかったけれど、思い出はちゃんとある。  何杯目かのおかわりをした御堂さんが僕にウィンクをして爆弾を落とした。 「そういえばさっき3人で決めたんだけどさ。木之下クン製作の采配してね〜ん」 「え!?」  僕はメインの肉を取り分ける手を止めた。有馬が僕の手からトングを取って自分の皿に大盛りにする。 「お前だけやることないから当然だろ!」 「あの、木之下さん、よろしくお願いします」  西条さんまで僕に頭を下げる始末だ。 「いやいやいや、僕が三年分の首席をまとめられるわけ」 「お前がステラデザインでどんなことやってるか見せてみろやァ!」 (あれ? なんで有馬僕の勤め先知って)  結局、僕の意見は聞き入れられず、集団製作は僕が青写真を引くことになったのだった。
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