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フィアナが真っ直ぐに見つめると、ナシオンも同じようにじっくりと見つめ返す。互いに互いの目を見つめ、互いに視線で訴える合うものの、先に折れたのはナシオンだった。
「……わかった。君の言うとおりだ。あれを効果的に使える場所は……裁判しかない」
ナシオンも認めてくれたことで、フィアナはほっと安堵のため息をこぼす。だが、イアンはニコニコと笑みを浮かべ「なんのことでしょう?」と口にする。
この部屋には、ほかに誰もいないとわかっていても、フィアナはつい周囲を確認してしまった。
「安心してください。ほかには誰もおりませんから」
「あ、はい……」
みっともないところを見せたかもしれないと少しだけ焦ったフィアナだが、これからの件について、そっと話を始める。
イアンの表情からは笑みが消え、驚きへと変化する。さらには、大口を開けて笑い始めた。
「あなたも、なかなかすごいことを考えますね。ですが、私もその考えは嫌いじゃない。協力しましょう」
イアンの協力、つまり大聖堂側の協力だ。それを得られたことに、フィアナは胸をなでおろした。
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