第五章

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 馬鹿正直に騎士団に提出すれば、もみ消されてしまうかもしれない証拠。それを確実に人の目に触れさせるために、フィアナは大聖堂側と手を組むのだ。  騎士団に所属する自分が、なぜ組織を裏切る行為に手を出そうとしているのかはわからない。  きっと、ただ真実を知りたいだけなのだろう。  聖女ラクリーアを殺したのは誰か。  どうして聖女ラクリーアは殺されなければならなかったのか。 「ところで」  イアンが話題を変える。 「聖女様のご遺体は、いつになったら返していただけるのでしょうか? 次、あなたたちが来たら確認するようにと、枢機卿たちからは言われておりましてね。ですが、今日は仕事ではないということなので、お答えしなくてけっこうです。ただ、まだ聖女様のご遺体がそちらにあることを忘れずに」  イアンの言葉が、ぐずりと胸に深く突き刺さった。  聖女ラクリーアの遺体を、騎士団はいつまで保管しておくつもりなのか、フィアナにはさっぱりとわからない。  必要な話を終えたフィアナとナシオンが、イアンの執務室から立ち去ろうとすると、見送りとして巫女を一人つけられた。
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