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アルテールの言葉に偽りはない。
そもそもファーデン国は、太陽神ファデルが建国した国と言われている。建国時には王族やら聖職者やらと、今ほどまで別れてはいなかったのだ。
それが王族を支持する者は王城に、太陽神ファデルを信仰する者たちが大聖堂に集まるようになった結果、今のような関係になった。
だが、どちらも根本には太陽神ファデルの存在がある。
「そうですね。このファーデン国は太陽神ファデルによって建国された国。太陽神ファデルのもとに、わたくしたちは一つでした。ですがそれも昔のこと。今は、わたくしたちも己の信念に則っておりますので」
「なるほど。私の想いはそう簡単には届かないということですね。また来ます」
アルテールは優雅に腰を折る。
「次からは先触れをお願いします。わたくしたちも暇ではございませんの」
ラクリーアの言葉に返事をせず、アルテールはぞろぞろと騎士を引き連れて大聖堂内から出ていった。
「みなさん、お騒がせして申し訳ありません」
やっとラクリーアが笑顔を見せた。それによって止まっていた時間が緩やかに動き出すような感覚があった。
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