第六章

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 だからさっさとカリノを王城へ移送させ、聖女の遺体を大聖堂に返すという手順を踏みたいのだろう。 「ですが、聖女様の遺体を返すのは、カリノさんの移送とは関係ないですよね?」  そうでなければ、犯人が確定しない間は、被害者の遺体をずっと保管しておかなければならなくなる。 「そうなんだが。今回は何よりも被害者が聖女様だからな。きっちりと犯人が決まったところで、遺体を返したいらしい。大聖堂側からあれこれ文句つけられて、再捜査となることを懸念しているんだ。そのときに聖女様の遺体は、こちら側にあったほうが自由にできるからな」 「でしたら、矛盾しませんか? カリノさんを移送したところで、彼らが再捜査を要求しないとは限らないですよね?」 「何よりも、嬢ちゃん本人が自供している。自分でやったとな。だから、再捜査にはならないと、上は睨んだようだ」  話を整理すると、大聖堂側からの反論にそなえて聖女の遺体を保管していたが、大聖堂側が遺体を返せと言ってきたため、カリノを犯人として王城に移送し、そこで遺体を返す。
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