第六章

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 矛盾しているような気もしないでもないが、これはどちらかといえば、鶏が先か卵が先かの話に近いのかもしれない。  だが、上が決めたというのであれば、今は従うしかない。 「カリノさんが移送される前に、話せますか?」  フィアナの言葉にタミオスはにたりと笑う。 「お前さんのことだから、そう言うと思っていた。移送は午後からだ」  今回の件は取り調べとは異なる。フィアナが個人的に話をしたいだけなのだ。  そしてカリノが王城へ移送となったら、フィアナは手出しができない。だから今のうちにカリノと話をしておきたかった。 「根回ししとくから、嬢ちゃんに今後のこと、説明してくれないか?」 「今後のこと、ですか?」  タミオスのやろうとしていることにピンときた。 「ああ。今日の午後、移送が決まったことはまだ嬢ちゃんの耳には届いていない。お前から、嬢ちゃんに伝えてほしい。それから、王城移送後、刑確定のための裁判が開かれることもだな。今回は事件が事件なだけに、裁判を早める予定のようだ」 「わかりました」  フィアナからみたら、願ってもない話だ。
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