44人が本棚に入れています
本棚に追加
「朝会で嬢ちゃんのことが報告される。だから俺のほうから、移送の手続きはお前にやらせるように伝える。それでいいな?」
「はい。ありがとうございます」
移送前にカリノと話ができる機会があるのは大きい。
これもタミオスのおかげなのだが、彼も騎士団では上層部に片足を突っ込んでいる人間であるのに、その考えに染められていないところは、やはり情報部という特殊な部門に属しているからかもしれない。
カリノには何をどこまで、どうやって伝えるべきか。
アルテールの短剣が見つかったことは言うべきか否か。
なにしろ、第一騎士団にも報告していない証拠品だ。これは、ここぞというときの切り札にしておきたい。
たとえそれが、証拠隠蔽だと言われようが。
タミオスが言ったように、カリノを王城へ移送させるという話は、朝会で報告された。
それが終われば、この捜査本部も解散となるだろう。カリノの移送が終わった今日の夕方には「解散」の号令がかかるはずだ。
凶器が見つからない、動機がわからない、聖女の遺体の一部が見つからない。
最初のコメントを投稿しよう!