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そうやってないないづくしであっても、犯人さえ王城へと送ってしまえば、あとは王城にいる彼らが処遇を決める。つまり、騎士団の管轄からは外れるというわけだ。
「では、容疑者移送補佐はフィアナ・フラシス、頼んだぞ」
総帥に名を呼ばれ、フィアナも「はい」と凛とした声で答える。
タミオスの根回しにより、フィアナはカリノの移送補佐として指名された。
それに不満そうなのはナシオンだった。
「今日はフィアナだけだ」
朝会が終わり、それぞれが持ち場へ戻ろうとしたとき、そんなナシオンの肩をタミオスがポンと叩いた。
「いやいや。二人一組が基本ですよね?」
「それは捜査のときな? 今日は取り調べで嬢ちゃんのところにいくわけではないからな?」
「ナシオンさんも、ずいぶんとカリノさんのことが気に入ったようですね」
とにかくナシオンはぶうぶうと文句を垂れていた。そんなに彼もカリノと話をしたかったのだろうか。
自席に戻り、今回の事件のあらましをまとめた報告書に最初から目をとおす。
カリノが聖女ラクリーアの頭部を持って東分所を訪れたのは、六日前。そのときから、聖女を殺したのは自分自身だと言っていた。
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