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そのわりには凶器についても証言しないし、ラクリーアの身体を刻んだ理由も言わない。
殺したかったから。そうしたかったから。
そういった表向きの言葉を並び立てるだけ。
だけどそれが、アルテールをかばっての言動だったら?
そして彼女が、アルテールに脅されているとしたら?
十分に考えられる。
それにナシオンも言っていたように、大聖堂にいる巫女や聖騎士見習いは後ろ盾のない弱い人間だ。その彼らを人質のように扱われたら、幼いカリノは逆らえないだろう。
もしかして、キアロが姿を消したのはアルテールに囚われているから、とか。
できれば、その辺の話をカリノから聞いてみたい。
ナシオンもいないだろうし、見張りも外にいるだろうから、こっそりと聞けば答えてくれるだろうか。
そんなことを考えながら、いつもの取り調べ室へと足を向けた。
「こんにちは、騎士様」
「こんにちは、カリノさん」
「今日は、騎士様、おひとりなんですか? いつもの方はどうされたのですか? クビになったのですか?」
カリノはナシオンをきちんと認識していたようだ。
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