第六章

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「はい。今日は私、一人です。彼とも話をしたかったのでしょうか?」  カリノは黙って首を横に振る。 「今日は、カリノさんのこれからについて説明をしにきました」  フィアナの言葉に、彼女は首肯する。そういった身のこなしの一つ一つを見ても、年齢の割には大人びている。  ただ、地下牢での拘束も六日目となったためか、その顔に疲労の色は濃く出ていた。強がる口ぶり、凛とした姿勢を見せても、目の下の隈や、かさついた唇は隠しきれない。 「本日の午後、カリノさんは王城の地下牢へと移送されます」  その瞬間、カリノの目は大きく開かれた。少しだけ唇を震わせたのち、すぐさま平静を装う。 「今は騎士団管轄になっていますが、王城へと移送されたあとはそちらの管轄となります。王城関係者、つまり貴族たちが中心となり、カリノさんの裁判を行います」 「わたしが聖女様を殺したと、やっと認められたわけですね?」 「それはちがいます。むしろ、裁判は真実を明らかにする場。これ以上、騎士団で調査を続けても、今以上の成果が得られないと判断されたためです」  つまり、騎士団の力不足を露呈させたようなものだ。いや、彼らのやる気のなさか。
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